春に咲く花の一つに「ジャーマンアイリス」があります。
洋蘭の一種で、「アイリス」の言葉は「イリス」とも呼ばれる、虹を司る存在の名前です。
その影響があり、この花も「虹の花」の別名を持ちます。
今回はこの花から、ブランディングにつうじることを考えてみます。
虹の花とも呼ばれるとおり、各部分がいろいろな色、いろいろなタイプで構成されています。
今まで私が見かけた例を、ここで挙げていきます。
●青紫の花びらに、奧が黄色い、青紫のふさふさ(中央にあるヒゲ)があったもの
●ふちと繊維に沿って、紫がところどころに入った花びらのもの
●白い花びらに、黄色から茶色へと移っていく、蜜標(蜜への標識)が入ったもの
●ピンクから紫、茶色と移っていく花びらに、黄色いふさふさがあったもの
大きな花弁が逆立って飾りのようになっているところ、
蜜までの道としてのふさふさ、翼を広げたような、独特の模様をした蜜標など、
色だけでなく形態としても、しっかりブランディングしています。
強調するところが部分的になっていて、それでもあちこちに張り巡らされていますよね。
そもそも、「花」というもの自体が虫をターゲットとしたブランディングの塊で、
ジャーマンアイリスは(実際の虫にはどうだか分かりませんが)、とにかく、目立ちます。
前回のブランディングの記事では、
「ナチュラルハーモニー」と「コンプレックスハーモニー」の色彩を例に出して、
外にある自然的なヒントと人工的なヒントについて書きました。
自然界に適応しているジャーマンアイリスにも人の手が加わっていて(人工的で)、
これらのヒントのバランスの取り具合からも、学ぶことができます。
各ヒントを取り入れた時に、どのような具合にバランスを取ればいいか、がです。
皆さんは自分の作風をどんなイメージカラーに、どんな構造に、
どんなヒントをどのような具合にバランスを取って、ブランディングしますか?
もちろん、この枠に当てはまらない作風やブランディングがあっても、いいのです。
似たようにして、ジャーマンアイリスの新しい品種も、ジャーマンアイリスでないものも、
ジャーマンアイリスをこえた新しいものも、誕生するのでしょうから。